アンプラグド
本棚の整理でノートをパラパラとめくっていたら、6年前の日付の走り書きにこう書かれていました。
「フィルムカメラはアコースティックギター。デジタルカメラはエレクトリックギター。」
その当時、フィルムカメラで撮影の仕事をやっていきたいけど、果たして上手くいくだろうかと思案しながら、思いついたことをノートに走り書きしていました。数年経ってみて、我ながら「なるほど」と思うところでした。
前者は生楽器、後者は電子楽器。どちらも音を奏でるという点では同じですが、表現のための道具のひとつという点では、フィルムカメラとデジタルカメラも同様かなと思います。
アコギにはアコギの、エレキにはエレキの良さがあり、守備範囲が重なる部分もあれば、お互いの得意とする部分もある。フィルムとデジタルも同様。
アコギとエレキについて僕なりの勝手な解釈は、どちらも相手に想いを伝えたいという気持ちは同じですが、アコギは半径数メートルの相手へ生声で弾き語る感じ、エレキは半径数百メートルの相手へ声高らかに歌い上げる感じ、でしょうか。
そういう風に考えるとすると、僕がフィルムカメラを選ぶ理由は、目の前にいてくれる誰かに弾き語るように、笑顔の写真を撮ってあげたいからなのかもしれません。
「花と手紙だより」2024年6月14日版