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撮影にまつわることから日常のことまで、徒然と。

ある人、弓射ることを習ふに

「花と手紙だより」2024年8月23日

『初心の人、二つの矢を持つことなかれ。
後の矢を頼みて、初めの矢になほざりの心あり。
毎度ただ得失なく、この一矢に定むべしと思へ。』

検索中にたまたま辿り着いた卜部兼好「徒然草」第九十二段冒頭。
弓を習っている人に対して、弓の先生がアドバイスをしている場面です。
もはや何を検索していたのか忘れてしまいましたが、その時に頭の中で考えていたことの答えそのものだったので、ここに記そうと思いました。

『初心者は、二本の矢を持って(的に向かって)はいけません。
後(二本目)の矢をあてにして、最初の弓をいい加減にする気持ちがあるからです。
(矢を射る)毎回、ただ、当たる当たらないではなく、この一本の矢で射抜こうと思いなさい。』

人生のあらゆる場面において含蓄ある名文だなと思いました。

写真撮影においては、「今」という二度と無いこの瞬間を逃すことなく写しとることが大切だ、ということでしょうか。

徒然草のこの一節を読んで臨んだ直近の撮影以降、シャッターボタンを押す重みをより感じるようになりました。


*文面の関係上「徒然草」第九十二段の一部を引用していますが、原文を知りたい方はご自身で読んでみてくださいね。


「花と手紙だより」2024年8月23日