タイムカプセル
父が撮ってくれた39年前のボク。推測するに、誰もが気軽に写せるフラッシュ付きカメラで撮ってくれたのでしょう。
人生初のバースディケーキを前に、はしゃぐボクの屈託ない笑顔を眺めていると、両親が感じたであろう喜びや嬉しさが、およそ14,000日という気が遠くなるような長い長い時の旅を経て、現在の僕の元へ届けられる。
写真というものは、まるでタイムカプセルのようですよね。
我が子を愛おしく想う両親のように、孫を優しく見守る祖父母のように、笑ったり泣いたりケンカしたり怒ったり悲しんだり喜んだり同じ時間を心とカラダに共に刻んでいく家族一人ひとりを想うように、きれいごとかもしれないけれど、僕自身が撮りたいのは、こういう、そういう写真なんだと思います。
まるで家族の一員、そうですね、年に一度会うか会わないかぐらいの遠い遠〜い親戚の写真好きのおじさんになった気分で、ファインダー越しにお客様を拝見すること。これは、僕が撮影で大切にしていることのひとつです。
「花と手紙だより」2024年2月2日版