フィルムについて

便利な世の中にあって、はっきり言って不便だらけのフィルム撮影。
その場で結果を見られない、枚数が限られている、オートフォーカスも連写もアプリで加工もできません。そして今となってはかなりのハイコスト。
でも、不便なフィルムでだからこそ、写真の楽しさを味わえます。
では、そのフィルムでしか味わえない写真の楽しさとは?
全ては有限。限りある枚数での撮影は、かけがえのない今というこの瞬間をより感じられるひとときになるでしょう。
写真のお届けは最短3週間から1か月程度。ちょっとだけ未来の自分へのプレゼントを贈るような感じ。どんな風に写っているか楽しみに待つことも、スピードの速過ぎる現代ではなかなか贅沢な時間です。
撮影の度にフィルムを巻き上げる動作が生み出すゆったりとした時間の中、撮影時のアンテナは常にあなたに。
お互いに呼吸を合わせて、ここぞという瞬間を狙い、写し取ります。
シャッターボタンを押す回数ははっきり言って少ないです。当たり前ですが、難しいポーズもお願いしません。おしゃべりを交えながら、ゆったりとお過ごし頂けると思います。
ざっくりといえば、フィルム写真は、印象派の点描絵画のような仕組み。フィルムには微細な円状の銀粒子が塗られていて、それらにレンズを通過した光が反応します。だからこそ、どことなく柔らかく感じるのかもしれません。
フィルム撮影で得られる楽しさは、二つの意味でまさに化学反応です。
「花と手紙だより」2025年3月14日