実感とテクノロジー

あえて言うことでもありませんが、技術革新がもたらす恩恵で益々便利に快適に過ごすことができるようになっています。
写真の領域で言うと、カメラはミラーレス一眼が主流となり、シャッターボタンを押す前の段階で撮影結果をファインダーで確認することができます。また、自動的に人間の瞳にピントを合わせ続けてくれる機能まで搭載され、乱暴な言い方ですが、文字通りシャッターボタンを「押す」だけで簡単に撮れてしまいます。レンズ効果や画質などの違いはありますが、ほとんどスマホのカメラと一緒です。
もちろん、どのカメラを使うとしても、撮影者の意図が大事であることは、いつの時代でも変わりません。
ただ、最新型のミラーレス一眼を1年近く常用した僕個人の感想としては、なんかしっくりこない。素敵な瞬間を撮っているぞという実感が薄い。
失敗はほとんど無くなり安心して撮影に臨むことはできるけど、写真を撮ることが楽しいかと聞かれたら、頭の中にハテナが浮かぶ。だから、ひとまずミラーレス一眼は手放して、従来の一眼レフに戻しました。
例えるとするなら、従来の一眼レフのファインダーは、素通しの覗き窓。
ミラーレス一眼のファインダーは、一度テレビ画面を経由した覗き窓。
とはいえ、もっと言ってしまうと、人間の眼も光から受け取った情報を電気信号に変換して脳で認識しているわけですが。
おそらく近い将来、人類は人生の大部分をバーチャル空間で生きることになるかもしれませんが、僕は身体を通じて実感を得て生きたい。やっぱり、肉眼で世界を捉えたい。
フィルムで撮影することは、今ここに確かに生きている、という実感を強く感じさせてくれる。そう思います。
「花と手紙だより」2025年8月23日